突然ですが、アイドル双子が急接近!
「あーっ! 智也くんだよー!」
「きゃー、ほんとだ!」
智也先輩が近くを歩くと、たちまち歓声が上がった。
「と、智也くんこんにちは!」
顔を赤く染めて、挨拶している先輩もいた。
「こんにちは、みんな!」
挨拶を返された先輩達は、顔が真っ赤になって「きゃー!」と騒いでいる。
そのことに全く気にも留めない智也先輩は、私達のところにまで近づいてきた。
「向日葵ちゃんも、こんにちは!」
「こんにちは智也くん」
向日葵先輩は、智也先輩に好意を抱いているようではないのか、別に顔は赤くなっていない。
智也先輩の視線は、私達の方へ移った。
「あれー? 君たちは、1年生かい?」
「は、はいっ!」
私達は、慌てて同時に頷いた。
私達はあんまり慌て具合も頷くのも同じだったから、智也先輩も向日葵先輩もクスッと笑っていた。
「名前はなんていうの?」
「さ、坂本 若菜です!」
若菜は、茶色い目を輝かせながら自己紹介した。
「君は?」
今度は、私に目を合わせてくる智也先輩。
大きくて利発な目をしていて、鼻はスッと高い。
うん、やっぱりイケメンだ。
「い、稲葉 果歩です!」
「若菜ちゃんに果歩ちゃん、よろしくね」
「よろしくお願いします!」
私と若菜は、勢いよくサッと頭を下げた。