残酷な初恋
中学3年、気になる女子と同じクラスになれた。最初の席替えで僕の前の席に西村さんが座った。そう、僕の気になる女子だ。クラスメイトは名前で「志桜里」と呼ぶ。でも僕は恥ずかしく苗字で「西村」と呼んでいた。「さん」を付けないのが僕なりの抵抗であった。

僕なりに頑張っていた。必死に会話を頑張った。たわいのない事、どうでもよい事、話題を考え会話をした。西村さんの笑った顔、笑顔が見れた瞬間がとっても嬉しかった。

中学生活は1年間を通して行事がたくさんある。大きなものは球技大会、水泳大会、体育祭、合唱祭。小さなものを含めると毎月イベントだらけだ。

席が前後ということもありイベントが近くなると、去年つまり中学2年の時、「こうだったよね」とか「ああだったよね」と思い出しながら、西村さん含め周りのクラスメイトと会話していた。
水泳大会の話題をしていた時だ。西村さんの発言に僕は驚いた。
「去年は、熊谷君コースアウトしてたよね。今年は大丈夫?」
そう、僕は去年の水泳大会のメドレーリレーの第一泳者で背泳ぎを担当した。僕なりに頑張ったのだが、僕の背泳ぎは斜めに進んでプールに浮かぶコースの線を越えてしまった。そのためメドレーリレーの成績は散々なものであった。恥ずかしい記憶になっている。
でも、去年のことを覚えていてくれていることに、ただただ嬉しく、心が暖かくなった。

そして、2学期、3学期と時間が経過していく。運が良いのかな?。2学期の席替えでは、前後ではないが近い位置の席になれた。3学期は、また前後の席になれ、心の中では「よっしゃー」と叫んでいた。西村さんとは気軽に会話ができる関係になっていたと僕は感じていた。西村さんの気持ちはわからないが。

中学の卒業間近、僕はある計画を考えていた。多分「機は熟した」と考えていたと思う。そう、告白だ。
卒業式の日に西村さんに告白をする、そう心に決めた。

しかし、実際には卒業式に告白することはできなかった。そして、僕の中学生活は終わりを迎えた。
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