天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です

生意気な後輩、現る

瑠愛(るあ)、サンドイッチ食べよう」


4月中旬のとある日曜日。

夢中で砂場で遊んでいる愛娘ーー瑠愛は、私の声に反応して、こちらを向く。

手に付いた砂をいい加減に払った彼女は、「ママー」と言いながら私の足元にまとわりつくと、にこにこ笑顔で私のことを見上げた。

瑠愛の手に付いていた砂が私の白いシフォンスカートにも付き、もう少しカジュアルスタイルにして来るべきだったと後悔。


「あー……。サンドイッチの前に、手を洗ってこようか」
「うん!」


元気よく返事をした瑠愛は、公園に設置されている手洗い場へ走って行ってしまった。

スカートに付いた砂を軽く払った私も彼女のあとを追いかけると、瑠愛の横で水道の蛇口を捻る。


「ママのおてても、ばっちいの?」
「うん。ご飯の前には、手を洗わなきゃだよ。保育園の先生に教えてもらったでしょ?」

「うんー」


私が一生懸命説明している横で適当な返事をした瑠愛は、手を洗い終えるとレジャーシートが敷いてある場所へと走り出した。

……やれやれ。
子どもは本当に自由気まま。

だけど可愛くて憎めないし、ちょっとズルいよね。なーんて。


「あっ、まりちゃーん!」
「るーちゃん、お帰り」


レジャーシートの上に腰掛けているのは、私の勤める久々子医療センターの受付クラークである同僚の真理子だ。
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