天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です

彼女からの宣戦布告

「あぁー……そりゃまた厄介な後輩を持ったね」


あのクレーム騒動から1週間。

院内の食堂で一緒に食事をしている真理子が、苦笑いしながら私に言う。


「全然反省もしてないし、私に向かって生意気なこと言ってくるし……」
「白石さんも厄介だったけど、彼女も大概厄介ね」


「はぁ」と、短い溜め息を漏らして、私は定食に付いているほうれん草のお浸しを口に放り込んだ。

白石さん……か。
あまり思い出したくない名前だ。

彼女は4年ほど前、一緒に仕事をしている私に対して日々嫌がらせを繰り返していたお局。

それを見掛けた翔くんが助けてくれたわけなんだけれど、私が結婚して妊娠して、その相手が外科ドクターの翔くんであることを知ってから居心地が悪くなったのか、私の育児休暇明けと同時に退職した。

そしてその後継ぎとしてやってきたのが、相道さん。彼女は彼女で、非常に厄介だ。


「やっと白石さんから解放されたと思ったら、これよ……」
「しかも、真衣が大澤先生の妻だってことに気付いてないのね」

「あぁぁ……」


真理子の言葉に、先週の生意気発言を思い出した。

〝男が寄って来ませんよ〟

どうやら彼女、私が翔くんと結婚しているということに気が付いていない。私から夫婦だということを話す必要もないし、『ただ苗字が同じ』としか思っていないよう。
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