天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
仕事中は邪魔になるので結婚指輪もしていないため、余計に気付かないのかもだけど。


「指輪、したらいいのに」
「うーん。でも、指輪って別に見せびらかすような物でもないし……」


翔くんにもらった大切な指輪。付けてもいいのだけれど、周りにお披露目しているかのようで個人的には気が引ける。

それに〝ドクターの妻〟というポジションを狙っている女性は多く、その人たちに妬まれるのは仕事に支障が出てしまいそうで困るのだ。

特に、相道さんには。彼女は『ハイスペックな男性を求めて病院での勤務を希望した』と、小耳に挟んだ。そんな不純な動機で職に就き、仕事の覚えがよくない理由もわかる。


「まぁ、真衣が頑張って指導するしかないね」

「真理子の引き継ぎは上手くいってる?」
「うん。真面目な子だし、育休中も心配なさそう」
「羨ましいわ……」


真理子の育児休暇中は、皮膚科から助っ人として内科の受付を担当してくれるらしい。

慣れているということもあるかもしれないけれど、私からしたら羨ましい限りだ。外科へも手伝いに来てくれないだろうか。


「頑張ろ? そのうち心を入れ替えてくれるわよ」
「はぁ……。そうだといいけど」


相道さんの改心は半分諦めモードで、私は食後のコーヒーを飲み干すと、真理子と食堂を出た。
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