天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
外科外来の近くまで戻ると、相道さんの姿が目に入る。明日の患者さんの確認をしようと外来の中に入り相道さんの方へと視線を移したのだけれど、自分の目を疑った。

外来の外側からは見えない位置で、彼女がスマホを操作している。


「ちょっと……相道さん。仕事中でしょ? スマホは片付けようよ」

「えぇ? だって大澤さんなかなか帰って来ないし、その間暇じゃないですかぁ」
「………」


もう、呆れて物も言えない。いくら指導者の私がいないからって、スマホを操作していい理由にはならない。

それにもしスマホを操作していることが周りにバレたりしたら、指導者である私の責任でもある。こんなことで私まで上司から注意されるのだけは避けたい。


「あのね? 明日の患者さんがどんな人たちなのか、見ることくらいは出来るでしょ?」
「無理ですよぉ。病名とかもまだ全然わかんないし」


注意されたことが気に入らなかったのか、スマホをバッグに放り投げた相道さんは、気怠るそうに電子カルテにログインした。

……ダメ。イライラしてはダメだ、私。
今どきの若い子は、ちょっと強く言っただけでも『パワハラだ』とか『モラハラだ』とかって騒ぐんだもの。

指導者である私がしっかりしなきゃ、彼女は成長しない。
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