天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
「そうね、ごめんね。早く戻って来なかった私が悪かった。でも、それでスマホを触るのは違うし、次からはカルテ見ててくれる?」


これ以上相道さんの機嫌を損ねてしまわないように、柔らかい口調で彼女に言う。

なんで私が下手(したで)に出なきゃいけないのよ……。

私が悪者になることも納得がいかなかったけれど、午後からやらなければいけない仕事もまだ残っている。こんなことに時間を費やしている場合じゃない。

そんなことを考えながら、私も電子カルテにログインしたとき。午前中のオペを終えた翔くんが、外科の外来へと戻って来た。

自分の診察室の椅子に座ると、さっそくカルテの入力を始めた翔くん。きっと午前中に施行したオペレコーー手術症例の術中所見や手術手技についての公式記録の入力だろう。


「大澤先生、お疲れ様でした」
「真衣。ありがとう」

「さっそくなんですけど、明日の悪性リンパ腫切除術の患者さんの抗生剤点滴のオーダーが抜けてました」


「え、マジか」と、眉間にシワを寄せた翔くん。忙しい日々が続くと、検査オーダーや点滴のオーダーが抜けていることがたまにある。


「さすが真衣だな。毎回しっかり確認してくれて助かる」
「いえ。これが私たちの仕事なので」

「サンキュ。あとでオーダーしておくよ」
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