天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
ペコリと軽く会釈をしてから、受付に戻る。すると、相道さんの鋭い視線が突き刺さった。

……今度はなんだろう。


「もしかして、大澤先生の奥さんですかぁ?」
「えっ!? い、いきなりどうしたの?」


まさか、彼女の方からそんなことを言ってくるなんて思ってもおらず、動揺してしまった。

ニヤリと笑った相道さんは、電子カルテから視線を逸らさず話を続ける。


「だっていつも仲良いし、息ぴったりだしぃ」
「そ、そうかな……」

「夫婦ってこと、隠してるんですかぁ? もしかして上手くいってないとか?」

「なっ……違うわよ!」


相道さんの発言に、慌てて否定の言葉を口にする。

なんて失礼な。
そんな理由で、夫婦だということを隠しているわけではない。

看護師の草壁さんや真理子は知っていることだし、他の職員に気を遣わすのが嫌で隠しているのだ。


「図星ですか?」
「あのね。今その話は関係ないから」


早く話題を変えなければ、余計なことを言わなければならなくなる。それに、仕事も終わらない。

瑠愛のお迎えのために残業は出来ないし、今日は家族3人で夕食予定だ。そんなことを考えながら、仕事の話しへ戻そうと思ったとき。


「私、大澤先生のこと狙ってるんで」


耳元で囁くように、相道さんが言う。
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