天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
聞き間違いかと思い彼女の方へと視線を向けると、嫌味たっぷりな表情で私のことを見つめていた。

は……? 『狙ってる』って、翔くんのことを?
それって、略奪するってこと?


「優しいですよねぇ、大澤先生って。この前私が困ってたら助けてくれて」
「………」


いやいや、待ってよ。それは恋愛対象だからじゃなくて、仕事仲間として助けたんでしょう?

たったそれだけのことで私から翔くんを奪おうだなんて、そんな甘い考え方に絶句する。


「結局、男は若い子がいいんですよぉ」


そんなことを呟きながら、外科外来から出て行ってしまった相道さん。

その後やらなければいけないことがたくさんあるのに。相道さんの言葉が脳内を駆け巡り、なかなか手が動かなかった。


* * *

その日の夜。

豚肉のピカタと野菜たっぷりのコンソメスープを作り、瑠愛と一緒に翔くんの帰りを待っていたのだけれど、一向に帰ってくる気配がない。

お腹が空いたとグズり始めた瑠愛の食事を先に済ませてお風呂に入れると、あっという間に眠ってしまった彼女。

時刻は21時を過ぎたところ。
オペに入る前に翔くんと少し話したときは、『19時には帰れると思う』と言っていたのに……。

〝男は若い子がいいんですよ〟
こんなときに限って、昼間の相道さんの言葉を思い出す。
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