天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
俺の仕事のこともちゃんと理解してくれていて、あらかじめ伝えていた時間に帰宅できなくても『患者さん優先だから、当然だよ』と、笑顔で出迎えてくれる。

でも、それはただ俺が真衣に甘えているだけなのか?

本当は『出掛けたい』とか、『もっと一緒に過ごしたい』とか思っているのに言えなくて、真衣に我慢させているのだろうか?


「でも真衣はさ、なにも言わないんだよ」
「ったく。お前は本当鈍感だな」
「………」

「ドクターの奥さんが、わがまま言うわけないだろ」


浜岡にそう言われ、なにも言い返せなかった。

そう言えば医学生時代、同じ外科ドクターの3つ年上の先輩が結婚式の打ち合わせの際、オンコールで病棟から呼び出されたらしい。

ウェディングドレスの試着をしている最中だったらしく、奥さんに『医者なんかと結婚するんじゃなかった!』と言われたんだとか。

でも、その後その先輩が離婚したという話は聞かないし上手くいっているのだろう。しかし、俺も真衣と一緒に過ごしていたとき、呼び出されたことは数知れない。

たまには真衣に感謝の気持ちを伝えないと、やばいのではなかろうか。


「なぁ浜岡。女はなにすれば喜ぶんだ?」
「そうだなぁ……ハワイとか?」

「ハワイ?」


おいおい、海外じゃないか。


「いや、お前ら新婚旅行も行ってないんだろ?」
< 21 / 51 >

この作品をシェア

pagetop