天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です

幸せな新婚旅行

「ねぇパパ、まだつかないのー?」


長時間のフライトに飽きてしまった瑠愛は、ハワイへ向かう途中の飛行機の中で翔くんに問いただす。


「もうすぐかな」
「るーちゃん、つまんない」


唇を尖らせて不満そうな瑠愛は、持参したタブレットでお気に入りのアニメ動画を観始めた。

7月中旬。
約束通り1週間の夏休みをもらった翔くんは、私と瑠愛をハワイへと連れて来てくれた。

翔くんが長期休暇を取るのは、今回が初めて。

1週間も外来を開けてしまうことに少々不安はあったものの、久しぶりの家族時間。思いっきり楽しみたい……のは山々なんだけど。


「はぁ……相道さん、大丈夫かな」
「心配?」

「うん、すごく心配よ。だって……」


私が翔くんと合わせて休暇を取ると伝えたとき『はぁ? 私のこと放っておくとか最低すぎます』と、意味不明なことを言っていた。

夫婦なんだから、別におかしいことはしていない。

その後も不満を翔くんにまで伝えていたらしいけれど、まったく相手にしていなかった。仕事に対する姿勢もいい加減な彼女を置いて海外旅行なんて、不安しかない。


「まぁ、なんとかなるだろ。一応、助っ人もお願いしてあるんだし」
「だから心配なのよ」


私の代わりに受付に入ってくれるという岩橋さんは、眼科の受付クラークとして勤務している。
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