天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です

「大丈夫か？」


心配そうに私の頭を撫でてくれる翔くん。大好きな人に触れられて、ほっと安心する。

でも、これからオペに行かなければいけない彼にまで心配を掛けてしまって、申し訳ない。


「私は大丈夫。翔くん、オペに行かなきゃ」
「オペ出しまでまだ少し時間がある。大変なオペだから、俺も真衣で充電させて」

「えぇ……。今の私じゃ、翔くんのこと充電出来ないよ」


「あ、そうだな」と、白い歯を見せながら笑う翔くんにつられて、私も思わず笑ってしまった。

……大好きな翔くんの笑顔。
この笑顔がほかの人に奪われようとしているなんて、そんなの辛すぎる。

気が付けば、涙が頬を伝っていた。


「真衣？」
「……ごめん。ちょっと、辛くて」


心が悲鳴を上げていたのかもしれない。

翔くんが〝愛してる〟と言ってくれても、たくさん私のことを愛してくれても。とんでもないくらいに翔くんに執着している相道さんの存在を消し去ることはできない。


「大丈夫だ。真衣には、俺が付いてる」
「うん。ありがと……」

「とりあえず、今は休ませてもらって」


翔くんの言葉に小さく頷くと、彼はおでこにそっとキスを落としてからオペに向かった。

1人になり「ふぅ……」とため息を漏らすと、今度は草壁さんの吹き出す声が聞こえる。