天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です

幸せな家庭

『きんぴらごぼうサンドありがとう。美味かった。今日、遅くなるんだ。ごめんな』


瑠愛を迎えに行った帰り道、翔くんからメッセージを受信していた。スマホの時間は17時を少し過ぎた頃で、そのくらいまで食事の時間を確保出来なかったのだろう。

それもそのはずだ。私が昼食を終えて外科外来に戻ると、翔くんも草壁さんもバタバタしていた。

どうやら単独交通事故で、夫婦別々の病院に運ばれたという患者さんの処置に追われているようだった。

久々子医療センターに搬送されたのはご主人の方。骨盤骨折及び右橈骨遠位端骨折という重症だっだけれど、翔くんや整形外科医の協力により、一命を取り留めた。

今後はリハビリをして歩行機能の改善を目指すのだが、きっと長期戦になるだろう。でも主治医が翔くんなら大丈夫だと、そう思う。


「ママー、きょうはパパいる?」


帰宅後、リビングで絵本を広げていた瑠愛が、夕食の和風ハンバーグを作っている私に話し掛ける。

最近の瑠愛は、必ずこの質問をしてくるようになった。彼女はまだ上手く気持ちを口にすることは出来ないけれど、きっと寂しいのだろう。


「パパ、今日は遅くなるみたい」
「えぇー……また?」

「お仕事だからね。ママとご飯食べよう。今日はハンバーグだよ」
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