天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
患者さんのIDと名前を確認するために電子カルテを開くと、どうやら翔くんがオーダーした点滴のようだ。

チラっと翔くんがいる診察室を覗くと、彼は真剣な眼差しでカルテ入力を続けている。


……昨晩は、翔くんと愛し合った。

瑠愛が産まれてからも、彼は夫婦2人の時間を見つけては私のことを抱いてくれる。

妊娠して体型も変わり、日常では〝母〟としての顔が増えたけれど、翔くんは私を〝女性〟として見てくれて、私へ向ける愛情も変わらない。

だからこそ、私もいつまでも綺麗でいたいと思うし、年を重ねても女性らしくいたいと思っている。


「真衣ちゃんどうした? 顔赤いよ」
「えっ。いえ、大丈夫です! 薬局行って来ます」


点滴を運ぶためのバッグを手に取ると、私は慌てて外来を出た。

……いけない。
昨晩のことを思い出していたら、顔が熱くなってきた。

でも、私のことを愛してくれる相手が同じ空間にいるのだから、どうしても思い出してしまう。


「仕事に集中」


廊下で1人呟いてから、私は薬局で指定された点滴を受け取ると、再び外科外来へと戻った。


「あっ、大澤さん。おはようございますぅ」
「……あ、おはよう」


外来に戻るなり、やる気のなさそうな声で私にあいさつをしてきたのは受付クラークの相道(あいどう)さんだ。
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