天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
大学を卒業し、久々子医療センターに就職したという22歳の彼女。

肩より少し長い髪をブラウンに染めていて、ウェーブがかかっている。爪の手入れも行き届いていて、毎日メイクもバッチリだ。

瑠愛の支度と自分の支度で毎朝バタバタしながら出勤する私とは違って、相道さんは自分自身に時間をかけていることが見て取れた。

ただ、彼女は毎日出勤時間ギリギリにしか来ない。


「どこ行ってたんですかぁ?」
「薬局よ。大澤先生が朝イチで点滴オーダーを出したの」

「ふーん。まぁいいですけど、外来始まっちゃいますよ」


『出勤時間ギリギリにしか来ないクセによくそんなことが言えるわね』と言いかけて、慌てて言葉を飲み込んだ私。

相道さんは、どうも仕事の覚えがあまりよくなく、私がいないと自分から進んで仕事をしてくれない。同じことを何度も説明してもメモも取ってくれないし、トイレに行くと言ってなかなか帰って来ないこともある。

最近の若い子は少し注意しただけでも大騒ぎするから黙ってはいるものの、私たちは患者様を相手にする仕事だ。

病院に遊びに来ているわけではないし、もう少し気を引き締めて欲しい。


「じゃあ、患者さんの検査案内しようか」
「はぁーい」


またもややる気のない返事をして、相道さんは仕事を始めた。
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