天才外科医に娶られてママになりましたが、溺愛生活継続中です
その日は相道さんのやる気のなさとは反対に、バタバタした午前中だった。

救急車が2台入って来て木村先生の外来はストップするし、入院患者さんの体調が悪くなって、翔くんの外来までもがストップしてしまう始末。

なかなか外来が進まないと患者さんのイライラも募り、「まだ呼ばれないの?」「もう1時間待ってるんだけど」と、不満をぶつけてくる患者さんもいる。

その都度対応するのだけれど、相道さんの対応の悪さが引き金となって「もういい、帰る!」と、診察を受けずに帰ってしまった男性患者さんがいた。

普段翔くんの外来に通院している患者さんで、こんな風に怒りをぶつけるのは初めてのことだ。


「はぁー……さっきの患者さん、あんな怒ることなくないですかぁ?」


無事外来が終わったあと、デスク周りを片付けながら相道さんが私に話し掛ける。


「でも、あの患者さんも長い時間待ってたでしょ?」

「だからって私に怒りぶつけられても困りますぅ」
「まぁ……そうなんだけど」


髪の毛をいじりながら不満をぶつける相道さんは、先ほどの患者さんが怒っていたことが納得できないようだ。

とは言っても、私から見ていれば彼女の対応も悪かったというのが私の意見。


「相道さんも、患者さんの立場だったら怒りたくならない?」
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