イケメン御曹司とは席替えで隣になっても、これ以上何も起こらないはずだった。
No.10:教室にて
翌日のお昼休み時間。
「ねぇ、今日帰りにマクド寄ってかない?」
そう明るく私に言ってきたのは、三宅柚葉。
私の親友だ。
柚葉は私と同じ中学出身で、中3の時には同じクラスだった。
高校に入ってからは別クラスだったけど、2年生になってまた同じクラスに。
いつもお昼は、柚葉と一緒に食べている。
柚葉はサラサラロングの茶髪に、ぱっちりとした大きな目元の美人さんだ。
私と違って身長が160センチ以上あり、スタイルがよく胸も大きい。
性格も明るく、とても社交的だ。
当然男子からモテるし、たまに一緒に出かけても彼女だけよく声をかけられたりする。
「ごめん、今日はバイトなんだ」
私はそう答えた。
それにマクドなら、昨日行ったし……。
「え、なに? マクド行くんだったら、僕も行きたいんだけど。今マンゴーシェイクやってるよね? あれ飲みたいんだ」
横から話に入ってくるのは、張本義輝くん。
通称ハリー。
張本だからハリーというだけではない。
色素の薄いナチュラルブラウンの髪を耳に掛かるくらいに伸ばしている。
透き通るような白い肌に、くりっとした可愛いアイライン。
その上に丸メガネを装着している。
そう、「寄せてるの?」って思うくらい、あの映画の主人公そっくりなのだ。
柚葉とはまた違った意味で、男女問わず人気者だ。
初見で「誰かマントと杖を持ってきて!」という女子が特に多いらしい。
「ごめんハリー君。私がバイトがあって、行けないって話」
「ああ、なんだ。そういうこと」
「ハリー、マクドのシェイク好きだよね。あれ、カロリーめっちゃ高いんだよ」
「そういう三宅さんだって、いっつも飲んでるでしょ」
「誰が太ってるって?」
「そ、そうは言ってないでしょ」
柚葉とハリー君は、1年生の時から同じクラス。
2年になって、私とも同じクラスになった。
傍から見ていると、付き合ってるの? って思うくらい、とても仲がいい。
柚葉に聞くと「は? そんな訳ないでしょ。アイツは私の下僕だから」とのことだ。
私と柚葉が一緒にお弁当を食べた後、予鈴が鳴る5分前くらいにハリー君が入ってきて、こうして3人で話すことが多かったりする。
「あっ、皇帝様帰ってきた。あ~やっぱり今日もカッコいい♡」
柚葉の視線の先を見ると、宝生君がひとり凛として座っていた。
あの人を寄せ付けない雰囲気。
まさに孤高の皇帝、といった居住まいなんだけど……。
「皇帝様、ねぇ……」
私は昨日のことを思い出していた。
図書館でマクドに行こうって言った時の、嬉しそうな表情。
ああいう顔を普段から見せればいいのに。
でもあの表情を知っているのが私だけって思うと、なんとも言えない変な優越感も感じてしまう。
「本当に孤高の皇帝って感じだよね。僕もたまに学食でお昼を食べるんだけど、宝生君の前後左右、きれいに空間ができるんだよ」
「そこがいいのよ。誰も近づけない、近づけさせない感じ?」
ハリー君の言葉に、柚葉は一人うっとりとしている。
それにしても……こんな風にファンの子がたくさんいるんだろうな。
昨日一緒にマクド行ってきたよ、って言ったら全員から殺されそう。
私も何気なく宝生君の方へ視線を送る。
すると……どういうタイミングが、向こうもこちらを見ていた。
視線が合って、宝生君の口角が少し上がった。
同時に私の心拍数もまた上がった。
「え、ちょ、今こっち向いて笑ったよね? え、わたし? わたしなの?」
「気のせいだと思う」
「ちょっ、ハリー、なんでよ? わたしかもしれないじゃない!」
ハリー君と柚葉が言い合ってる。
それを聞きながら、私は自分の心臓に落ち着くように言い聞かせていた。
「ねぇ、今日帰りにマクド寄ってかない?」
そう明るく私に言ってきたのは、三宅柚葉。
私の親友だ。
柚葉は私と同じ中学出身で、中3の時には同じクラスだった。
高校に入ってからは別クラスだったけど、2年生になってまた同じクラスに。
いつもお昼は、柚葉と一緒に食べている。
柚葉はサラサラロングの茶髪に、ぱっちりとした大きな目元の美人さんだ。
私と違って身長が160センチ以上あり、スタイルがよく胸も大きい。
性格も明るく、とても社交的だ。
当然男子からモテるし、たまに一緒に出かけても彼女だけよく声をかけられたりする。
「ごめん、今日はバイトなんだ」
私はそう答えた。
それにマクドなら、昨日行ったし……。
「え、なに? マクド行くんだったら、僕も行きたいんだけど。今マンゴーシェイクやってるよね? あれ飲みたいんだ」
横から話に入ってくるのは、張本義輝くん。
通称ハリー。
張本だからハリーというだけではない。
色素の薄いナチュラルブラウンの髪を耳に掛かるくらいに伸ばしている。
透き通るような白い肌に、くりっとした可愛いアイライン。
その上に丸メガネを装着している。
そう、「寄せてるの?」って思うくらい、あの映画の主人公そっくりなのだ。
柚葉とはまた違った意味で、男女問わず人気者だ。
初見で「誰かマントと杖を持ってきて!」という女子が特に多いらしい。
「ごめんハリー君。私がバイトがあって、行けないって話」
「ああ、なんだ。そういうこと」
「ハリー、マクドのシェイク好きだよね。あれ、カロリーめっちゃ高いんだよ」
「そういう三宅さんだって、いっつも飲んでるでしょ」
「誰が太ってるって?」
「そ、そうは言ってないでしょ」
柚葉とハリー君は、1年生の時から同じクラス。
2年になって、私とも同じクラスになった。
傍から見ていると、付き合ってるの? って思うくらい、とても仲がいい。
柚葉に聞くと「は? そんな訳ないでしょ。アイツは私の下僕だから」とのことだ。
私と柚葉が一緒にお弁当を食べた後、予鈴が鳴る5分前くらいにハリー君が入ってきて、こうして3人で話すことが多かったりする。
「あっ、皇帝様帰ってきた。あ~やっぱり今日もカッコいい♡」
柚葉の視線の先を見ると、宝生君がひとり凛として座っていた。
あの人を寄せ付けない雰囲気。
まさに孤高の皇帝、といった居住まいなんだけど……。
「皇帝様、ねぇ……」
私は昨日のことを思い出していた。
図書館でマクドに行こうって言った時の、嬉しそうな表情。
ああいう顔を普段から見せればいいのに。
でもあの表情を知っているのが私だけって思うと、なんとも言えない変な優越感も感じてしまう。
「本当に孤高の皇帝って感じだよね。僕もたまに学食でお昼を食べるんだけど、宝生君の前後左右、きれいに空間ができるんだよ」
「そこがいいのよ。誰も近づけない、近づけさせない感じ?」
ハリー君の言葉に、柚葉は一人うっとりとしている。
それにしても……こんな風にファンの子がたくさんいるんだろうな。
昨日一緒にマクド行ってきたよ、って言ったら全員から殺されそう。
私も何気なく宝生君の方へ視線を送る。
すると……どういうタイミングが、向こうもこちらを見ていた。
視線が合って、宝生君の口角が少し上がった。
同時に私の心拍数もまた上がった。
「え、ちょ、今こっち向いて笑ったよね? え、わたし? わたしなの?」
「気のせいだと思う」
「ちょっ、ハリー、なんでよ? わたしかもしれないじゃない!」
ハリー君と柚葉が言い合ってる。
それを聞きながら、私は自分の心臓に落ち着くように言い聞かせていた。