遠くに行ってしまった幼なじみが副社長となって私を溺愛してくる

第4話 待ち伏せ

 どうして。それ以外の言葉が思い浮かばなかった。

 ホームページに記載してあった名前を心の中で反芻する。

 『白河辰則』

 雪くんの名前も辰則だ。苗字が違うだけで。もしかして、引き取られた親戚の家の苗字が『白河』だった?
 それなら、再会した時に言えばいいのに。

 『今は白河を名乗っているんだ』くらい、わけないでしょう?

 途端、怒りが湧いてきた。退社する足がそれに比例して速くなる。いつもなら反省したり、疲れが足に出て遅くなったりするのに。

 だから向こうも、私がそんな速く駅に着くとは思っていなかったらしい。

 駅の近くに横付けされた、白い車の前に雪くんがいたのだ。スマホで話している姿だけなら、待ち伏せされているとは思わない。
 けれど私と目があった瞬間、すぐにスマホをポケットにしまい込んだ。

 え? 何で?

 思わず立ち止まる。その間、雪くんがこちらに向かって歩いてくるのだから、さらに混乱した。
 そしてお昼の休憩時に現れたお姉さま方を思い出し、私は反射的に逃げた。
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