遠くに行ってしまった幼なじみが副社長となって私を溺愛してくる
「僕付きの秘書になりましたので、暫く慣れさせるために、こちらが用意した部屋に住んでもらうようにしました、と」
「えー! そんな取って付けたような理由……じゃなかった、それで納得する人たちじゃないでしょう? 雪くんだって――……」
「だから、結婚を前提にお付き合いしている、と言った」

 え? 今、何て言った?

 そう顔に出ていたらしい。雪くんは念を押すように、言葉を重ねる。

「ずっと高野辺が、いや早智のことが好きだったんだ。再会してすぐに言われてもピンとこないと思うし、困ると思ったから打ち明けなかったけど……って早智?」
「え?」
「聞いてた?」
「う、うん。雪くんが……私を、好き……だって」

 私の困惑した表情に、雪くんが動揺している。

 分かっている。告白は勇気がいるものだから。それなのに私の反応がイマイチだったら、尚更だ。

 だけど仕方がない。私も……雪くんのことが……。

「好き。……私も雪くんが、好き」
「早智!」

 でも! この状況は、いや現状がよくなかった。
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