遠くに行ってしまった幼なじみが副社長となって私を溺愛してくる
 私の返答を聞いて嬉しそうに駆け寄り、抱き着こうとする雪くん。けれど私はそれを押し退けた。
 当然、雪くんは困惑している。

「早智?」
「ごめんね。告白してくれたのは嬉しかったし、とても有り難いんだけど、ちょっと頭の中が今、滅茶苦茶で……」

 何から聞くべきなのか、素直に喜んでいいのか、分からなかったのだ。

 すると、押しのけたのにも拘らず、雪くんは再び私に向かって腕を伸ばす。

「こっちこそ、ごめん。僕もいっぱいいっぱいになっていたから、早智の気持ちを疎かにした。告白も……勢いでしたのは反省している。だからプロポーズはちゃんとやるから――……」
「は、早い! 展開が早いよ、雪くん!」

 今度は押す前にギュッと抱きしめられてしまった。お陰で、シャツを掴んでも引き離せない。

「まずは、状況の説明をして! 順番に!」
「そうだった。それを話したいために、早智を待っていたのに……。僕は昔から早智のことになると、周りが見えなくなるみたいだ」
「そう、なの?」

 小学生の時はずっと一緒にいたけど気がつかなかった。
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