遠くに行ってしまった幼なじみが副社長となって私を溺愛してくる
第9話 早智の事情と僕(辰則(雪)視点)
「早智!」
午後三時頃、副社長付きの運転手兼SPの宇佐美から連絡を受けた。早智が部屋を出た、と。
僕は早々に仕事を切り上げて、部屋に戻った。予想していたとはいえ、早智がいない部屋を見ると、ダメージが大きい。
「どこへ……は一つしかないか」
帰ったのだ。早智は高野辺家から離れたいと思っていても、完全に切り離そうとはしなかった。多分、それが血の繋がり、というものなのだろう。
僕には分からない血の絆。すでに両親がいなくなってから、だいぶ経つからだろうか。その繋がりを理解することはできなかった。
「嫌なら、切り捨てればいいのに」
僕はそう呟くと、部屋の外で待つ宇佐美に命じて、高野辺家へ向かった。
彼は部屋を出る早智を見ていても、それを止めず。さらに僕が追うことも非難しない。
副社長付きと言っても、宇佐美は会長からの命令で僕の傍にいるのだ。始めは監視目的なのかと思ったが……違うのか?
命令を聞かなかったり、逆らったりしても、首にする権限を僕は持っていない。宇佐美の雇用主はあくまで会長だからだ。
「今はそんなことを気にしている場合じゃない」
早智だ。最悪な状況になっていないといいんだが……。
午後三時頃、副社長付きの運転手兼SPの宇佐美から連絡を受けた。早智が部屋を出た、と。
僕は早々に仕事を切り上げて、部屋に戻った。予想していたとはいえ、早智がいない部屋を見ると、ダメージが大きい。
「どこへ……は一つしかないか」
帰ったのだ。早智は高野辺家から離れたいと思っていても、完全に切り離そうとはしなかった。多分、それが血の繋がり、というものなのだろう。
僕には分からない血の絆。すでに両親がいなくなってから、だいぶ経つからだろうか。その繋がりを理解することはできなかった。
「嫌なら、切り捨てればいいのに」
僕はそう呟くと、部屋の外で待つ宇佐美に命じて、高野辺家へ向かった。
彼は部屋を出る早智を見ていても、それを止めず。さらに僕が追うことも非難しない。
副社長付きと言っても、宇佐美は会長からの命令で僕の傍にいるのだ。始めは監視目的なのかと思ったが……違うのか?
命令を聞かなかったり、逆らったりしても、首にする権限を僕は持っていない。宇佐美の雇用主はあくまで会長だからだ。
「今はそんなことを気にしている場合じゃない」
早智だ。最悪な状況になっていないといいんだが……。