遠くに行ってしまった幼なじみが副社長となって私を溺愛してくる
第10話 雪くんがいるから
お母さんの言う通り、本当に矛盾している。そう思ったらおかしくて、つい口を出してしまった。
まぁ、このままだとお父さんが出て来て、雪くんが不利になりそうだった、というのもあるけれど。
「早智……」
ホッとした顔で私を見る雪くん。その口で「恋人」と言ったことを思い出して、表情が緩んだ。
すると、何がそんなにおかしかったのか、雪くんは笑顔を向けてきた。
「お母さんは私の言葉を聞いてくれたことってあった?」
「いつも聞いているでしょう」
「態度の話をしているんじゃないの。本当の意味で聞いたことがあったのか、私は尋ねているんだよ」
言葉遊びはやめて、というと、さらにお決まりの文句が飛んできてウンザリした。
お母さんは決まって「それは貴女のためを想って言っているの」とか「私やお父さんの言う通りにすれば、何も心配はいらないんだから」とか。
根拠のない言葉を並び立てる。
「そこに“早智”は本当にいるの?」
「え?」
「ずっと聞いてみたかったの。でも、怖くて聞けなかった。だって“早智”がいないことくらい、姉さんたちので知っていたから」
だから姉さんたちが言っていた。「早くこの家を出なさい。早智が壊れてしまう前に」と。
ようやく私はその言葉の意味を知った。
まぁ、このままだとお父さんが出て来て、雪くんが不利になりそうだった、というのもあるけれど。
「早智……」
ホッとした顔で私を見る雪くん。その口で「恋人」と言ったことを思い出して、表情が緩んだ。
すると、何がそんなにおかしかったのか、雪くんは笑顔を向けてきた。
「お母さんは私の言葉を聞いてくれたことってあった?」
「いつも聞いているでしょう」
「態度の話をしているんじゃないの。本当の意味で聞いたことがあったのか、私は尋ねているんだよ」
言葉遊びはやめて、というと、さらにお決まりの文句が飛んできてウンザリした。
お母さんは決まって「それは貴女のためを想って言っているの」とか「私やお父さんの言う通りにすれば、何も心配はいらないんだから」とか。
根拠のない言葉を並び立てる。
「そこに“早智”は本当にいるの?」
「え?」
「ずっと聞いてみたかったの。でも、怖くて聞けなかった。だって“早智”がいないことくらい、姉さんたちので知っていたから」
だから姉さんたちが言っていた。「早くこの家を出なさい。早智が壊れてしまう前に」と。
ようやく私はその言葉の意味を知った。