遠くに行ってしまった幼なじみが副社長となって私を溺愛してくる
第12話 黒幕の存在(辰則(雪)視点)
少し休憩したくて非常階段のところへ行くと、下の階で声がした。
しかも聞き慣れた声。さらに耳を澄ませば、その声が早智だと認識できた。
「……――のなら、離してください!」
しかも言い争っていることに気づいた僕は、すぐに駆け下りた。が、次の瞬間、物凄い音が鳴り響く。
まさか……早智が? いや、音だけじゃ分からない。早智でない可能性だってあり得る。
しかしどちらにしても、早智のピンチであることには変わらない。そう、相手に怪我を負わせたのであれば。
そうだ。動揺している場合じゃない。急いで行かなければ……。
けれど状況は、いつも必要としていない時に限って、予想通りに動いてしまう。
「早智?」
「ふ、副社長……こ、これは、その……」
下の踊り場で倒れている早智と、僕の近くで座り込んでいる笠木の姿があった。
どうやら腰を抜かして動けないらしい。それはそれで好都合だった。逃げられたら困るのだ。
「宇佐美」
「はい」
どこにいたのか分からないが、呼ぶと黒いスーツを着た宇佐美が現れた。SPも兼ねているため、常に僕の傍にいるらしい。
けれどこの時ほど、僕よりも早智を守ってほしかったと願わざるを得なかった。が、今はそんなことを言っている場合ではない。
早智の安否確認も必要だが、宇佐美にはやってもらいたいことがあったからだ。僕は両手を強く握り締め、必要なことを命じた。
しかも聞き慣れた声。さらに耳を澄ませば、その声が早智だと認識できた。
「……――のなら、離してください!」
しかも言い争っていることに気づいた僕は、すぐに駆け下りた。が、次の瞬間、物凄い音が鳴り響く。
まさか……早智が? いや、音だけじゃ分からない。早智でない可能性だってあり得る。
しかしどちらにしても、早智のピンチであることには変わらない。そう、相手に怪我を負わせたのであれば。
そうだ。動揺している場合じゃない。急いで行かなければ……。
けれど状況は、いつも必要としていない時に限って、予想通りに動いてしまう。
「早智?」
「ふ、副社長……こ、これは、その……」
下の踊り場で倒れている早智と、僕の近くで座り込んでいる笠木の姿があった。
どうやら腰を抜かして動けないらしい。それはそれで好都合だった。逃げられたら困るのだ。
「宇佐美」
「はい」
どこにいたのか分からないが、呼ぶと黒いスーツを着た宇佐美が現れた。SPも兼ねているため、常に僕の傍にいるらしい。
けれどこの時ほど、僕よりも早智を守ってほしかったと願わざるを得なかった。が、今はそんなことを言っている場合ではない。
早智の安否確認も必要だが、宇佐美にはやってもらいたいことがあったからだ。僕は両手を強く握り締め、必要なことを命じた。