遠くに行ってしまった幼なじみが副社長となって私を溺愛してくる
第14話 互いのメリット
私の驚きとは裏腹に、会長は落ち着いていた。雪くんは逆に、ベッドの端に座り、私の背中を撫でる。
「すみませんが、早智と二人にさせてもらえませんか? ゆっくりと説明をしたいので」
「……そうだな。白河さんとは長い付き合いになりそうだから、こちらもこちらでゆっくり話し合う場を設けるのはいかがだろうか」
「私の方は願ってもいないことですから、是非」
お父さんの圧力がかった提案を、サラリと同意する会長。一代で会社を大きくしたわけではないのに、腰の低い人だった。
いや、恐らく知っているのだ。我が家が旧家であること。また、旧家だからこその血の繋がりを。だからあんなことを言ったんだ。
私は三人が病室から出て行くと、恐る恐る雪くんに尋ねた。
「もしかして、雪くんは知っているの? その……母方の親戚がどこと繋がっているのか」
「ごめん。絶対に早智が嫌がりそうなことだとは思ったんだ。でも、早智と結婚するには、白河家にもメリットがないと、承諾を得られなかったから……だから僕は……」
私は会長の言葉を思い出した。
『辰則は千春との結婚を断り』
社長になるんだったら、確かに千春さまと結婚した方が近道だった。でもそうしなかったのは……。
「すみませんが、早智と二人にさせてもらえませんか? ゆっくりと説明をしたいので」
「……そうだな。白河さんとは長い付き合いになりそうだから、こちらもこちらでゆっくり話し合う場を設けるのはいかがだろうか」
「私の方は願ってもいないことですから、是非」
お父さんの圧力がかった提案を、サラリと同意する会長。一代で会社を大きくしたわけではないのに、腰の低い人だった。
いや、恐らく知っているのだ。我が家が旧家であること。また、旧家だからこその血の繋がりを。だからあんなことを言ったんだ。
私は三人が病室から出て行くと、恐る恐る雪くんに尋ねた。
「もしかして、雪くんは知っているの? その……母方の親戚がどこと繋がっているのか」
「ごめん。絶対に早智が嫌がりそうなことだとは思ったんだ。でも、早智と結婚するには、白河家にもメリットがないと、承諾を得られなかったから……だから僕は……」
私は会長の言葉を思い出した。
『辰則は千春との結婚を断り』
社長になるんだったら、確かに千春さまと結婚した方が近道だった。でもそうしなかったのは……。