お試しデートは必須科目〜しなけりゃ卒業できません!〜
「ありがとうございました。ではお二人とも、次回は半年後にお待ちしていますね」

お姉さんに見送られて、私達はお店を出た。

「半年後か、忘れそう。あ、樋口。行く時は俺にも声かけてくれる?」

「うん、分かった。課外活動の時間に一緒に行こう」

「ああ、頼むよ。それにしてもすごいな、コンタクトって。俺もう、意味もなくあちこち見ちゃうよ」

キョロキョロする工藤くんに、私はまたしても笑ってしまう。

「これで勉強もはかどりそう?」

「そうだな。快適にできそうだ」

「良かった」

「樋口、ありがとうな」

「え?そんな、お礼を言われることなんて何も…」

「いや、樋口のおかげで世界が広がったよ。今日はすごく有意義だった」

穏やかな笑みを浮かべる工藤くんから、私はしばらく目を逸らすことができなかった。
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