お試しデートは必須科目〜しなけりゃ卒業できません!〜
そのあとは今後のオープンキャンパスの予定を確認してから、家路につく。

今後しばらく、活動内容はオープンキャンパス巡りになりそうだった。

駅前で工藤くんと別れて、帰宅すると早速レポートを書く。

オープンキャンパスの内容や、工藤くんと話したことで自分の考えがまとまったこと。

志望校選びのヒントも得られたことなどを書いていく。

そのうちに、先日工藤くんと言い合いになったことを思い出した。

結局あの日は活動したとは言えず、レポートも書いていなかった。

(工藤くん、どうしてあんなに機嫌が悪くなったんだろう。私は工藤くんが医学部受験を決めて嬉しくなったのに)

あの時工藤くんは私に、自分には激甘なんだな、と言っていたっけ。

(それって、大学の選び方ってこと?いや、それも含めて将来のこととか?)

私はもう一度自問自答する。

どうして指定校推薦で大学を決めようとしているのか。

それは、早く決めて楽になりたいから。

指定校推薦でうちの高校に話が来ている大学は、いわゆる中堅と言われるレベルの大学。

そこに入れれば充分かな、と思っていた。

どうしてもここに行きたい!
この学部で学びたいことがある!

そんな気持ちは微塵もない。

(え、それで指定校推薦受けるってダメでしょ)

今更ながら、そのことに気づく。

(楽して入学して、そのあとも適当に大学の4年間を過ごすの?就職も適当に決めるの?工藤くんは医学部受験を決めて、これから厳しい医学の道を進む覚悟をしたのに?)

沸々と、このままではいけないという気持ちが湧いてくる。

(私、もっとちゃんと考えよう。志望校も1から考え直す)

それを今度、工藤くんにも伝えようと思った。
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