お試しデートは必須科目〜しなけりゃ卒業できません!〜
「工藤くん、おはよう!」

「おはよう。メリークリスマス」

「メリークリスマス!」

12月25日。

私達はいつもの図書館で待ち合わせた。

談話スペースに座り、私は工藤くんへのプレゼントを渡す。

「はい、これ。気に入ってもらえるか自信ないんだけど…」

「樋口からのプレゼントってだけで充分嬉しいよ。ありがとう。開けてもいい?」

「うん、どうぞ」

工藤くんはワクワクした様子で、ラッピングされたリボンを解く。

「お、手袋とマフラー?」

「そう。これから受験始まるから、風邪引かないように。手がかじかんで鉛筆握れないと困るしね」

「ありがとう!しっかりこれ着けて受験しに行くよ。樋口が一緒にいてくれるみたいで安心するし」

「ふふっ、良かった」

「じゃあ、俺からはこれ」

私は差し出された小さな箱を受け取る。

「ありがとう!開けてもいい?」

「もちろん」

私もワクワクしながら丁寧にリボンを解いた。

箱の中に入っていたのは、ビロードの四角いケース。

(え、これって…。ひょっとしてジュエリーボックス?)

そっとふたを開けると、可愛いオープンハートのネックレスが入っていた。

「わあ…、素敵」

思わずうっとりとその輝きに見とれる。

「樋口に似合うと思うんだ。着けてみて」

促されて、私はゆっくりとネックレスを手に取り首に着ける。

「うん、よく似合ってる」

「ありがとう、工藤くん。大切にずっと着けてるね。工藤くんがそばにいてくれてるみたいで、安心して受験できる」

「ああ。離れていても、俺はいつも樋口と一緒だから」

「うん!」

胸元のハートに手を添えて、私は満面の笑みを浮かべる。

「大好きな人にプレゼントされるのって、こんなに嬉しくて幸せなんだね」

「樋口…。そんな可愛いこと言われたら、今日別れられなくなる」

工藤くんの言葉に、私もちょっと切なくなった。

(しばらく会えなくなるなんて、寂しい)

思わずうつむくと、工藤くんが私の顔を覗き込む。

「来年のクリスマスは、一日中一緒に過ごそうな?」

「え、来年のクリスマス…」

想像すると嬉しさが込み上げてきた。

「うん、楽しみにしてるね」

「ああ」
< 41 / 70 >

この作品をシェア

pagetop