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第十五章 ホワイトクリスマス
「工藤くん、起きて起きて。ホワイトクリスマスだよ!」

翌朝。
目が覚めた私は窓の外の景色を見てから、工藤くんを揺さぶって起こす。

「雪!雪が降ってるの!ねえ、起きて」

工藤くんは、んー…と身じろぎしてゆっくりと目を開ける。

「おはよ、結衣」

寝ぼけまなこで、ふにゃっと笑う工藤くんは、まるで子どものように無防備だ。

「今日も可愛いね。結衣の声で目が覚めるなんて、最高に幸せで、俺…」

「それはいいから!ね、見て」

私は工藤くんの腕を引っ張って窓際へ行く。

「ほら!」

「おおー!一面銀世界だな」

「でしょ?きれいね」

「ああ。最高のクリスマスになりそうだ」

うん!と私も笑顔になる。

着替えると、まずは朝食を食べにレストランへ向かった。

ビュッフェカウンターに並ぶのは、採れたての新鮮な野菜や果物、焼きたてのパンにふわふわのオムレツ。

私はついついあれもこれもと食べすぎてしまった。

「はー、お腹いっぱい。美味しかった」

「ああ。今日はどうする?結衣」

「んーと、スキーはどう?ウェアも板も無料レンタルだし、スキー場までバスで送って行ってくれるんだって」

「おお、いいね!スキーなんて久しぶり」

「工藤くん、スキーできるの?」

「少しね。子どもの頃、家族で毎年行ってた」

「そうなんだ!」

「でも受験には縁起悪いからって、ここ何年かやってなかったな」

「あはは!滑るからだね。じゃあ今日は散々滑っちゃおう!」

「それ、去年の今頃なら禁句だぞ?」

二人で早速スキーウェアを選びに行く。

カラフルなウェアがずらりと並び、ゴーグルや手袋、帽子なども自由に借りられた。

「結衣、この白とピンクのウェアにしなよ」

「ええー、このピンク色、可愛いすぎないかな?」

「結衣ほどじゃない」

「は?なに言ってんの」

私は呆れながらも渡されたウェアに決めた。

お返しに工藤くんには、紺色にシルバーのラインが入ったかっこいいウェアを選ぶ。

部屋に戻って着替えると、送迎バスの発着場に向かい、待ち合い室の棚に並んでいたスキー板とブーツを選んでスタッフのお兄さんに調整してもらった。

「板はバスに運びますから、そのまま手ぶらで乗ってくださいね。あ、これは宿泊のお客様にお渡ししているリフト券です」

至れり尽くせりの待遇で、私達はスキー場にやって来た。
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