お試しデートは必須科目〜しなけりゃ卒業できません!〜
「わっ、工藤くん。めちゃくちゃ上手いじゃない」

まずは初心者コースで軽く流そうか、と言って滑り始めた工藤くんは、パラレルで華麗にゲレンデを下りていく。

「おーい、結衣。早くおいでよ」

真ん中まで来ると、工藤くんは私を振り返った。

「うん、今行く」

初心者レベルの私は、ボーゲンで恐る恐る滑り始めた。

するときれいなお姉さんが二人、スーッと横を通り過ぎ、工藤くんの前で止まる。

「お兄さん上手ねー。私達に教えてくれませんかー?」

(は?ナンパ?)

私はキッと目つきを変えると、直滑降で工藤くんのもとへ行き、ザッとお姉さん達の前で止まった。

「お待たせ!工藤くん」

「はやっ!結衣、ワープしたのか?」

お姉さん達は諦めて離れていく。

私はそれからも工藤くんのそばをピタッと離れずに滑り、おかげであっという間に上達した。
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