お試しデートは必須科目〜しなけりゃ卒業できません!〜
第二章 お試しデート
翌日。

先生から「工藤も樋口で異存はないと言っている」と聞かされ、私は連絡先を書いたメモを先生に託した。

学校では誰と誰がペアになったかを公表しない為、本人同士が接触しなくて済むよう、連絡先の交換や相談ごとなども、先生が取り持ってくれるとのことだった。

その日の夜。

夕食を食べ終えて自分の部屋で勉強していると、スマートフォンにメッセージが届いた。

(あ、工藤くんからだ)

【3年2組の工藤です】という書き出しを見て、早速メッセージを開いてみる。

『この度、政府の政策による課外活動の相手役を務めることになりました。よろしくお願いします』

おそらくこのテンションは、高校生の男女のおつき合いとしては少々違うのだろうけれど、私としてはしっくりくる。

『初めまして、3年1組の樋口と申します。この度は、私のお相手を引き受けてくださってありがとうございます。ふつつか者で至らぬ点も多々あるかと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします』

『こちらこそ。早速ですが、今後の活動内容について話し合いたいと思います。今週末の予定はいかがですか?』

『今週末は、土曜も日曜も予定はありません』

『では土曜日の午前10時に、中央図書館の入り口で待ち合わせでも構いませんか?』

『はい、大丈夫です。よろしくお願いします』

とまあこんな具合に、私達は淡々と初めてのやり取りを終えた。

ここから二人の関係がガラリと変わっていくとは、この時はまだ知る由もなく…
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