【超短編】その日から優しい雨の日には必ず水瀬くんの笑顔を思い出すようになった。
「っていうか、ごめんね。水瀬くんの漫画読む時間をじゃましちゃって。そろそろ帰ろかな。また明日ね!」
「全然じゃまなんかじゃなかったよ! 漫画の話を人としたの初めてで、すごく楽しかった」
「私も楽しかったよ!」
手を振り合い、教室を出ようと水瀬くんに背を向けかけた時、水瀬くんがぽつりと呟いた。
「なんか周りには漫画のこともそうだけど、好きなことを好きって、なかなか言えなくて……話が出来て、本当に嬉しかった」
自然と私は立ち止まり振り向く。
「その気持ち分かる。私も同じだから……でもきっと、好きなものがあるって素敵なことだと思うから、きっと堂々と『好きなものを好き』って言ってもいいんだよね!」
自分にも言い聞かしたその言葉。
水瀬くんはその言葉を聞くと、本を胸元でぎゅっと抱きながら「うん」と頷き、可愛く笑った。本当に可愛くて、胸の奥がキュンとした。水瀬くんは普段無表情で笑顔をみせない。この笑顔も貴重な笑顔。
水瀬くんを知ると、もっと知りたくなった。一緒に漫画の考察もしたい。
「明日、また水瀬くんとたくさん話がしたいな!」
☂️。.:*・゜
帰り道、雨の香りがする。
優しい雨が上がった後だ。
空には虹がかかっていた――。
「全然じゃまなんかじゃなかったよ! 漫画の話を人としたの初めてで、すごく楽しかった」
「私も楽しかったよ!」
手を振り合い、教室を出ようと水瀬くんに背を向けかけた時、水瀬くんがぽつりと呟いた。
「なんか周りには漫画のこともそうだけど、好きなことを好きって、なかなか言えなくて……話が出来て、本当に嬉しかった」
自然と私は立ち止まり振り向く。
「その気持ち分かる。私も同じだから……でもきっと、好きなものがあるって素敵なことだと思うから、きっと堂々と『好きなものを好き』って言ってもいいんだよね!」
自分にも言い聞かしたその言葉。
水瀬くんはその言葉を聞くと、本を胸元でぎゅっと抱きながら「うん」と頷き、可愛く笑った。本当に可愛くて、胸の奥がキュンとした。水瀬くんは普段無表情で笑顔をみせない。この笑顔も貴重な笑顔。
水瀬くんを知ると、もっと知りたくなった。一緒に漫画の考察もしたい。
「明日、また水瀬くんとたくさん話がしたいな!」
☂️。.:*・゜
帰り道、雨の香りがする。
優しい雨が上がった後だ。
空には虹がかかっていた――。