神様の恋まじない

 きれい。

 まるでいまにも落っこちてきそうなほどのまんまるの月だ。

 来るときには気付かなかった。

 だってこわくて、ずっと自分の足元だけを見て歩いていたから……。

「……あの日も、今日みたいなでっかい満月だった」

「え……、」

 月を見上げたまま、亮がぽつりと言う。

 まるでその日のことを思い出すかのようで。

 月に照らされた亮の顔は、なぜかひどくさびしそうに見えて。

 もしかして、亮は……。

「……まりかが思ってる通りだよ。俺、あのおまじない、やったんだ……」

 わたしの方をあの日と同じようにまっすぐ見つめた亮は、そうつぶやいた。

 ……信じられない。

 亮もわたしと同じように『占いとかおまじないなんてくだらない』って、そういうタイプだったから……。

「いつ……?」

 震える声で、おそるおそる亮に聞く。

 亮はわたしから視線をそらして「……小六のとき」とぼそっと呟いた。

 亮は当時のことを思い出すように、ぽつりぽつりと話し出した。



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