神様の恋まじない
◆告白◆
「まりか、覚えてる? 俺とまいみが喧嘩になったときのこと。先に手ー出したのは俺じゃないのに、一方的に俺が悪いって先生に決めつけられたときのこと」
「……うん、なんとなく」
そう言われればそんなこともあったっけ。
その時のことはわたしの中では、薄れつつあるおぼろげな記憶だった。
まいみは情緒が不安定な子だった。
加えてクラスで背が一番低くて、亮がいつもからかっていた子だ。
亮とまいみが言い合いになったりするのはいつものことで、それは珍しいことでもなんでもなかった。
またやってるよーって周りがあきれちゃうくらい、それは日常に溶け込んでいたから。
「……そのときからなんだ。まりかのこと、いいなって思ったの」
「え……?」
唐突に言われた告白ともとれる言葉に動揺する。
思わず上擦った声が出たけれど、亮は前を向いたまま静かに歩き続けてる。
……なんなの?
亮がなにを伝えたいのかわからない。
けど、最後までちゃんと聞こうと思った。