神様の恋まじない
「俺はさ、自分で言うのもなんだけど、めちゃくちゃクソガキだったじゃん。悪いこともしたし、まいみのことなんて、よく泣かせてた気がする」
……うん、そうだったよね。
たしかに亮は、学年きっての問題児だった。
自覚、あったんだ。
「いっつも俺が意地悪するから、さすがにまいみも切れてさあ。俺から手―出すこともそれまでにもちろんあったけど、そのときだけは……、その一回だけはさ。俺、あいつをぶってなんてなくてさ。いきなりだった。まいみが俺のこと蹴ってきたの」
それがあったのは、たしか小学校四年生?五年生?それくらいのとき。
当時を思い出しながら話す亮の横顔は幼く見えて、それがあの日の表情に重なった。
「普段の腹いせだろうな、俺のこと蹴ってきたの。先にやられたのは俺だったから、反撃って感じで俺もまいみを突き飛ばした。それで案の定まいみ、転んで泣いてさ。……それでも、日頃の行いってゆーの? 先生から頭ごなしにまいみに謝れって言われてさ。俺が悪いんだから、って」
……そう、だったっけ。
わたしはよく覚えていないけど、思い返してみれば一度先生を含めた話し合いがクラスで行われた気がする。
「俺じゃないって言ったよ。まいみの方が先に手を出したから、やり返しただけだって。けど、だれも信じなかった。いつものことだ。亮が泣かせたんだ、って」
そう話す亮はやっぱりどことなく寂しそうだ。