神様の恋まじない

「普段の俺の行いが悪いからだってのはわかってたよ。だけど、だれも信じてくれないのは、正直つらかったし悔しかった。どうせなに言ったって誰も信じない。さすがにそのときは先生にも暴言吐いたよ、謝ればいいんだろクソ教師、って」

 ここまで言われてもわたしの記憶は鮮明によみがえることはなく、そうだっけ?とおぼろげな記憶しか浮かんでこない。

 けど、亮がここまではっきり覚えているんだ。

 きっと亮にとってこれは、忘れがたい記憶なんだよね……。

「俺がそんな態度だったから、緊急クラス会議?みたいなやつになってさ。その時のことを知ってる人がいたら教えてって先生が言ってさ。どうせそんなことやったって、俺の味方をするやつなんてひとりもいないって思ってたよ。……でもさ、まりかが、言ったんだ」

「え……?」

 急に出て来た自分の名前に驚き、声が出た。

 思わず反応してしまったわたしの方を向いた亮は泣き出す手前、みたいな儚い表情をしていて……。

 心臓がぎゅっと、締め付けられた。


< 106 / 146 >

この作品をシェア

pagetop