神様の恋まじない

「……待たせてほんとうにごめん。なにから聞きたい? まりかが聞きたいこと、全部話すよ」

 これだけ時間がかかったのは、この前俺を好きだと言ってくれたまりかのことを真剣に考えるためでもあった。

 そして、ずっと苦しめられてきたあのまじないについても。

 少し考える仕草をして、まりかは静かに口を開く。

「陽菜ちゃんのこと、聞きたい……。なにがあったのか。さっきのことも、よくわかってないし……」

 ……そりゃあさっきあんなことがあったんだ。

 当たり前か。

「わかった」

 まりかの赤くなったままの頬を見て、いたたまれない気持ちになる。

 ……まりかをこんな目に合わせたのは俺のせいだから。

 ふっと息を短くひとつ吐く。

 梨木陽菜に告白された二年に上がったばかりの日を、俺は思い返した。

< 133 / 146 >

この作品をシェア

pagetop