神様の恋まじない
梨木陽菜とはそれで終わるはずだった。
……だけど、梨木の次の言葉で肝が冷えたんだ。
「あれー……、おかしいな。神様の恋まじないしたのに」
やっぱり迷信なのかなと付け足されたその声に、思わず反応してしまった。
「おまえもやったのか……?」
思わず前のめりで梨木にそう聞いた。
梨木は俺の話に食いついてきた。
「『も』ってことは、先輩もやったことがあるんですね?」
そんな梨木の言葉をかわぎりに、そこからはあっという間に話が進んだと思う。
天真爛漫な梨木は、幼かったころのまりかに似ていると思った。
それで、いらないことまで話したんだ。
まりかのことが好きなこと。
恋まじないで奪われたのは、まりかと付き合えるはずだった未来だったかもしれないこと。
それを聞いた梨木は俺に言ったんだ。
「まりかさんのことを好きでいていいです。忘れるために、私と付き合ってみませんか?」って。
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