神様の恋まじない
「わたしと付き合えるはずだった未来、って……?」
まりかはいぶかし気にそう言った。
俺がそれを言われたとしたら、いまのまりかと同じような反応すると思う。
……でもそれは、俺が自分に都合のいいように割り出した答えだけど、神様が奪ったものの正解に限りなく近い答えだったと思ってる。
「小六の、あのとき……。手紙交換したときさ。まりかの紙にはなにも書かれてなくて。俺はそのとき思ったんだ。やっぱり俺が見たのはただの夢で、恋まじないなんか迷信だって。まりかも俺のことなんて好きじゃなかったんだ、自惚れだったんだ、って。そのときはまだ、ぜんぜんまじないのことなんて、信じてなかった」
まりかは時折相槌を打ちながら、じっと俺の言葉を聞いていた。
「けど、クラスは一緒になるわ、席も隣りだわで。あまりにも続く偶然に、ほんとにこれは偶然なのかって、疑いだした」
俺の中でピースがかちりとはまった気がして、あの時ばかりは身震いした。
「しまいには、激励会での列順な。あんなピンポイントで偶然が続くか? それでピンときたんだ。あのまじないは、ほんとうは本物だったんじゃないか、って」
「そっか……」
「……思ったんだ。あのときのまりかの反応を思い返して、ほんとうはまりか、あのとき俺の名前をちゃんと書いてたんじゃないか、って。俺の願った三つの願いは、俺の知らないところで本当は叶っていたんじゃないか、って」
俺の言葉を聞いたまりかは当時を思い出すかのように、目を大きく見開いた。