神様の恋まじない
「つまり、わたしたち、ずっと両想いだったってこと、だよね……?」
「そういうことになるよな……」
なんとも言えない妙な終着点に、わたしも亮も黙ってしまった。
ふつう思いが通じ合う瞬間って、もっと感動的できゅんとして、甘酸っぱいものだと思うのに。
……神様の言うとおり、って言葉がふいに浮かんできたけれど。
わたしはもう迷信だの神様だの、そんな他力本願なものには頼りたくないって強く思った。
……亮の気持ちがわかったいま。
たったひとつだけ、聞きたかったことがある。
「『変わった』わたしのことは、もう好きじゃない?」
「……ばか。んなわけないじゃん」
本当に神様があのとき、"亮が好きだったわたし"を奪っていったのなら、もうあの頃みたいに亮をなにかからかばうこともできないのかもしれない。
いままで言うことのなかった陰口も、誰かと一緒になって言ったり、笑ったり、そういう日がいつかはくるのかもしれない。
だけど、やっぱり信じたいと思う。
亮のことも、自分のことも。
あの日信じきれなかった、過去の自分の分まで。
わたしは、なりたかったわたしになる。
誰が何と言おうと。
それが、たとえ神様でも——。