神様の恋まじない

「……ぜったい書く?」

「おー、絶対」

 わたしの声は不安で上擦ったけれど、亮の方も緊張まじりのこわばった表情で、そう言った。

 声はなんでもことかのようにいつも通りだけど、わたしにはその些細な違いすらわかってしまう。

 だって、毎日一緒にいるんだから。

 毎日亮のこと、見ていたから。

 ……亮は、書くんだろうな、好きな人の名前を。

 有言実行を表わしたような性格の亮のことだから、亮が絶対と言うのなら、そうなんだと思う。

 だけど……。

 周りからどんなに冷やかされても、亮から直接好きって言われたわけじゃない。

 お互い感じ取れる気持ちはあるけれど、それはたしかなものじゃない。

 だから、自信を持てない自分がいた。

 そこに、亮の名前を書くことを。

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