神様の恋まじない
……もし、わたしだけ亮の名前を書いて、もし、亮の紙にわたしの名前が書かれていなかったら?
……こわい。
この関係が壊れるかもしれないって、考えれば考えるほどこわくなった。
それに、急にこんなことになって、気持ちの整理が追いつかない。
わたしにはまだ、告白する勇気なんて持ち合わせていなかった。
「書けた?」
「……まだ」
「早くしろよー。授業終わるじゃん」
亮は今日、この話をしようと思って準備してたの?
そう思えるくらい、亮はあっさりした態度だ。
そう見えるように努力しているのかもしれないけど……。
あっという間に書き終えたらしい亮に、わたしの心はさらに揺さぶられた。
……待って。もしかしたらこれは、からかわれているだけかもしれない。
亮はわたしの名前を書いている?
……それとも、それはわたしの自惚れで、別の子の名前が書かれているのかな。
ううん、亮にはなんの他意もなく、わたしの好きな人が知りたいだけで、ほんとうは白紙なのかもしれない。
思わずため息が出そうになる。
考えるだけむだな疑問が、ずっと頭の中をぐるぐると回っている。
まるで駆け引きだ。