神様の恋まじない
◆プロローグ◆
「"神様の恋まじない"って知ってる?」
小学校五年生にあがったばかりの頃だった。
クラスで占いとか心理テストとかが流行り始めて、しばらく経ったある日。
内心またか、と思ったけれど、初めて聞くその名前に興味をそそられた。
だからわたしは、教室の隅でひっそりとされていた会話に、こっそりと聞き耳を立てていた。
「町のはずれに小さな神社があって、夜の十二時ぴったりにお参りするの。そうするとその日の夜、夢に神様が出てくるんだって。で、神様がひとつ、お願いをしてくるみたい。神様のお願いを叶えてあげると、お礼にお願いを三つ、神様が叶えてくれるんだって」
「えー、ほんとうに?」
……そんなおまじない、ほんとうにあるわけないじゃん。
ぜったい嘘っぱちだ。
きゃっきゃと盛り上がっている会話の外から、勝手に心の中で悪態をついた。
ほんとうに神様がいてそのおまじないが本物なら、やってる人はいっぱいいるはずだ。
それに、もっと噂になっているに違いない。
……そう思っても興味はあるから、聞くのをやめられなかった。