神様の恋まじない
「最近まりか、調子よくない?」
「これは初勝利できちゃうかもねー!」
「目指せ、一勝!」なんて言いながら、先輩たちがタオルで汗を拭き、そう言った。
わたしは水分補給をしながら、照れくさくなって笑った。
「いやー、それにしても、ここまで来るの早いね。一時は廃部の危機だったけど」
「そうだよね。まりかが入部決めてくれて、新入部員も今年はたくさん入ったし。これでまりかたちも、三年になってもバレーできるね」
そう言って先輩たちは少しだけさみしそうに、口元に笑みを浮かべた。
七月にある夏季大会で勝ち残れなければ、先輩たちはそこで引退だ。
だから、思うことが多くあるんだと思う。
バレーボール部の部員は部長を含め、三年生はたったの三人。
わたしたち二年生も三人で、わたしが入学したての頃、バレー部は廃部の危機だった。
少子化っていうのは、あなどれない。
その年は文化部と陸上部、それから水泳部への入部が特に多くて、バレー部は三年生引退後のメンバーが足りなくて困っていた。
そこで白羽の矢がたったのが、わたしだった。