神様の恋まじない

 最初は特に入りたい部活もなくて、適当に文化部に入ろうと思ってた。

 けれど、それを聞きつけたいまのコーチに説得されて、バレー部に入ると決めたんだ。

 やってみたら、バレーボールはわたしに向いていた。

 練習はきつくて苦しいことの方が多いけど、最近ではそれも慣れてきた。

 コンプレックスだった背が高いことが功を奏したのもある。

 なによりスパイクを打つのが楽しくて、気付いたときにはバレーが好きになっていた。

「もう、先輩。しんみりするの早いですよ!」

「そうですよ、部長」

 チームメンバーが口々に声をかけるけど、大会を目前に控えたいま、先輩たちの表情はほんの少しだけ暗い。

 人数がぎりぎり揃っているだけのチームだから、公式戦で勝ったことなんて、ただの一度もない。

 きっと、次の一試合が最後になるって思ってるんだろうな……。
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