神様の恋まじない
「まりかー! ごめん、お待たせ!!」
待ち合わせの自転車置き場まで頭をぼさぼさにしながら走ってきたこの子は、宮瀬なつき。
吹奏楽部に入っていて、次期部長らしい。
しっかり者でショートヘアが似合う、活発な女の子だ。
なつきはわたしの親友でもある。
家が近所で、この子ももちろん幼馴染。
学校の行き帰りはこうして待ち合わせしてるんだ。
「遅いぞー、宮瀬」
「うわっ、敷島までいるし!」
「なんだよ、いちゃ悪いのかよ」
「悪くはないけどさー……」
律に気付いたなつきはぶつくさ言いながらも、乱れた前髪を手櫛でささっと整えた。
悪態をついているように見えるけど、そう言うなつきの頬はほんのりピンクに染まってる。
それに、心なしかうれしそうだ。
わたしが親友だからわかるのかもしれないけど。