神様の恋まじない

「よかったってのは、まあ……言葉のあや! 男子みんなが陽菜ちゃんみたいな子がタイプだったら、あたしたちどうなんの!? って思って!」

 ……あーあ。せっかくのチャンスだったのに。

 まるで最適とばかりに誤魔化したなつきの顔は真っ赤で、ほかの人からすれば気持ちなんてバレバレだろうけど。

 幸か不幸か、超絶鈍感な律には気付かれなかったみたいだった。

 ……でも、いまみたいに焦っちゃう気持ち、よくわかるな。

 わたしもあの日……、いや、やっぱ思い出すのはやめとこ。

 きっと自分の首を締めるだけだ。

「なんにせよ、彼女がいるのうらやましーけどな。くそー、亮のやつ、先越しやがって! 彼女持ちなんてクソくらえだ! ちくしょーめ!」

 そう叫びながら、「あーもう帰ろうぜ!」と律は唐突にわたしたちを促した。

 ……はあ、律ってば情緒不安定?

 でも、うらやましい気持ちはよくわかる。

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