神様の恋まじない
「なに? なんかあった?」
不思議に思って一度自転車を降りてそう聞くと、なつきはわたしに近寄って、なぜか少しだけ小声になる。
聞かれちゃまずい話……?
「まりかに言おうと思ってたことがあるんだけどさ……」
「なに……?」
なつきのその様子にただならない雰囲気を感じ取って、わたしまで小声になってしまう。
周りには誰もいないっていうのに。
「……小学校の時、一時期流行ったじゃん? 女子の間で"神様の恋まじない"ってやつ」
覚えてる?となつきが聞く。
久しぶりに聞いたその言葉に、心臓が変な音を奏でた気がする。
……覚えてるに決まってる。
だって、そんなのあるわけないって、心の中でばかにしたことだってあるんだから。