神様の恋まじない

「でもさ、あの恋まじないってたしか、三つの願いを叶えてくれるけど、一番大切なものを取られちゃうんだったよね?」

「……うん、たしかそうだったと思う」

 あの恋まじないは、夢に出てきた神様のお願いを聞いて、そのお礼に三つの願いを叶えてくれる。

 だけど、最後に一番大切なものを奪われるっていう、まさにハイリスク・ハイリターンなもの、だったと思う……。

「願いが叶って志田と付き合ったってことはさ。梨木ちゃん、神様になにか取られちゃったのかな……?」

 その瞬間、びゅうっと強い風が吹いてわたしたちの間を通り抜けていった。

 木々がざわざわとこすれて、その音がなんだか不気味だ。

「……いや、偶然でしょ、偶然! 神様なんて本当にいるわけないって。おまじないも、ただの迷信でしょ?」

 気を取り直すように、なつきに言う。

 だけど……、心の中は複雑だ。
< 59 / 146 >

この作品をシェア

pagetop