神様の恋まじない

 陽菜ちゃんが恋まじないをやったのは、嘘じゃないのかもしれない。

 偶然に偶然が重なることも、あると思う……。

 けど、どっちにしろわたしには、つらい結果だ。

 亮と陽菜ちゃんが付き合っていることは、変えようのない事実なんだから。

「そ、そうだよね。ごめん! いまの話、忘れて!」

「……うん」

「にしても、このおまじない本当だったらすごいけど、ちょっと怖いとこもあるよね」

「だね」

 そう言ってお互い手を振り合って、わたしはやっと帰路についた。

 ……さっきはああ言ったけど、やっぱり気になる。

 あのおまじないは、ほんとうに本物なの……?

 そうだと知ってどうするのかも自分でわからないまま、ただ知りたいとう気持ちだけが胸の内を占めていた。

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