神様の恋まじない

 あれから何度考えても答えなんて出るわけなかった。

 ……でも、だったら本人に直接聞けばいい。

 わたしのことを慕ってくれている陽菜ちゃんなら、詳しく教えてくれるかも。

 ……そう思って、かなり勇気を振り絞ったのに。

「やりましたよ? 私、神様の恋まじない!」

 どうしてもどうしても気になって、部活前の忙しい時間だったけど、なつきに頼んで陽菜ちゃんを呼んでもらった。

 曇り続きだった空にちょうど晴れ間がさして、廊下の窓から入ってきた光が、陽菜ちゃんの髪に降り注いでいる。

 たったそれだけのことで絵になってしまうんだから、すごいなあと感心してしまう。

 ……これだけかわいいんだもん。

 おまじないの力がなくたって、きっと亮は陽菜ちゃんを好きになってたはずだ。

 恐る恐る聞いたわたしに反して、陽菜ちゃんはにこにこ笑いながら拍子抜けしてしまうほどあっけらかんと答えた。

 その様子を見てほんとに?って、疑問が湧き出てくる。

 だって、いくらそう言われても信じることができない。

 でも、実際に亮と付き合ってるのを見ると、嘘とも言い切れなくて……。

 やっぱり付き合ってるという現実が、わたしにのしかかるだけだ。

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